世界初のフィギュアアルバム誕生!使用曲の原曲をそのまま収録せず競技サイズに合わせて、フィギュア通音楽家“平沼有梨”が楽曲をリアレンジ。「eye」(2008-10 高橋大輔選手ショートプログラム使用曲)、「エルタンゴ・ド・ロクサーヌ」(2005-06 高橋大輔選手ショートプログラム使用曲)、「愛の讃歌」(2014-15 鈴木明子選手ショートプログラム使用曲)、「花になれ」(2013-14 羽生結弦選手エキシビジョン使用曲)、「ノクターン 第2番」(2013-14 浅田真央選手ショートプログラム使用曲)他、、、日本の男女トップ選手が使用した名曲の数々を収録。フィギュアファンであれば誰もが記憶に残っている、あの神がかりな演技がCDで蘇ります!
- eye
- El Tango De Roxanne(ロクサーヌのタンゴ)
- 愛の讃歌
- 花になれ
- 踊るリッツの夜/ハーレム・ノクターン
- An American Hymn(エデンの東)
- Papa,Can You Hear Me?(愛のイエントル)
- 序奏とロンド・カプリチオーソ
- ウィリアム・テル序曲
- My Way
- ノクターン第2番
2014/1/22発売
2013/2014シーズンを最後に、引退を表明している鈴木明子選手。
彼女の今シーズンショートプログラムで、オリジナルアレンジ・演奏を担当した平沼有梨(ヴァイオリン演奏:古澤巌)。今までの日本フィギュアスケート界ではめずらしい、音楽家によるプログラム曲の制作を一から行った。鈴木明子選手はもちろん、振付師のマッシモ・スカリ氏とも綿密なやりとりをしながら、制作にあたったと言う。氷上に舞う鈴木明子選手のフィギュアスケート競技人生最後の楽曲「愛の讃歌」の制作秘話を明かした。
平沼と鈴木選手の出会いは2013年5月のゴールデンウィークに訪れる。平沼は古澤とともに「プリンス アイスワールド2013(PIW2013)」にて「古澤によるプリンスアイスワールドのための組曲」というコーナーで古澤と共に音楽制作を担当し、音楽家とスケーターのコラボレーションイベント「世界にひとつだけのショーケース」に参加した。平沼は元々フィギュアスケート部に在籍していたこともあり、社会人になってからもフィギュアスケートはかかさずチェックしていた。平沼にとってはどんな仕事よりも、楽しい仕事であった。
鈴木選手は、2年前に古澤のCDに収録されていた映画曲で演技したことがあり、憧れのバイオリニストであった。イベント主催者の計らいで、公演最終日に鈴木選手も古澤の生演奏で滑るという話が持ち上がる。鈴木選手は古澤の生演奏が身体に馴染み、最高に心地良い滑りを見せ、観客を魅了した。
アイスショーの最終日に、古澤と平沼は、鈴木選手と長久保コーチ、スケート関係者同席のもと、鈴木選手の今シーズンショートプログラムの音楽について相談を受ける。「バイオリンの演奏は僕が、音楽制作は彼女がやります。」という古澤の二つ返事で、この話を引き受けることとなった。観る側から突如直接選手の演技に音楽で関わるという、平沼にとってはまたとない機会だった。
長久保コーチから渡されたCDに入っていたのは、越路吹雪さんの「愛の讃歌」。
コーチの大好きな曲だという。最初の打ち合わせでは、この歌の部分をバイオリンでという雰囲気だったため、まずは簡単に編集をして、バイオリンを加えた音源を5/11(PIW2013名古屋公演)のイベント会場に持っていく。音源を鈴木選手と長久保コーチに聞かせた。すると、鈴木選手の顔色が変わり、長久保コーチと鈴木選手の話し合いがその場で続き、最後には鈴木選手から「愛の讃歌は使用したいと思っていますが、ガラッと変えて欲しい!曲調は有梨さんにお任せします!」その後、詳細な演技構成を確認して、すぐに制作はスタートした。鈴木選手は平沼の音楽家としてのセンスを感じ、全てを託すことを決めた。
越路吹雪さんの「愛の讃歌」はCD等の売上が200万枚以上に達し、越路吹雪さんの代表曲となった名曲である。元々はシャンソン歌手エディット・ピアフの歌で原題は「Hymne à l‘amour (イムヌ・ア・ラムール)」。作詞:エディット・ピアフ、作曲:マルグリット・モノ―でシャンソン曲を代表する曲として世界中で親しまれている。
イベント終了後、シーズンインへ向けての調整のために鈴木選手は単身アメリカへ飛んだ。
楽曲制作をゴールデンウィークに依頼されてから数日が過ぎていた。調整時間を考えると少しでも早く、完成して鈴木選手に届けたいが、音楽家としても譲れないこだわりもある。平沼は5月末の完成へ向けて、昼なのか夜なのかもわからないほどスタジオに籠る。今シーズンの演技構成を固めつつ、鈴木選手とのメールのやり取りは幾度となくも続いた。鈴木選手からのリクエストはもちろん、マッシモ氏からも次々と「この映画の感じで」「ここで何秒スピンを入れたい」などのリクエストが飛んでくる。古澤とも相談しながら、演技構成上の山場の前にカデンツを入れるなど、リクエストに答えるかたちで…依頼から1週間ほどで第一弾の「愛の讃歌」が完成する。鈴木選手は少しずつ演技構成をブラッシュアップしていき、「何分何秒のところでメインテーマ戻りたい」と1秒、0.5秒の感覚を平沼に伝え、平沼は「愛の讃歌」というすでに出来上がっているメロディラインを練習ビデオやイメージを膨らませながら、アレンジを完成させた。
鈴木明子選手のスケート競技人生のラストシーズンに少しでも力になることができたであろうか。この曲で鈴木明子選手は「いままでの人生を滑る!」